メンバーシップ型とジョブ型、外資バックオフィスは?

 

働き方には大きく二種類、メンバーシップ型とジョブ型がある。一般的に日系企業は前者、外資系企業は後者であることが多い。

メンバーシップ型は、給与は低い、クビのリスクも低い、残業は多い。

ジョブ型は、給与は高い、クビのリスクも高い、残業は人それぞれ。

 

一方で外資の中でもオペレーションなどのバックオフィスはこれらの中間的な働き方が多いと実感する。これを給与、クビのリスク、残業という3つの観点から考えてみる。

 

まず、メンバーシップ型とは人に仕事を与え、会社として成果をあげていく働き方だ。メンバー、仲間として社員を迎え、共に働く。メリットとしては手厚いトレーニングがうけられることや、安定した雇用があげられる。仲間として迎えるのだから、しっかり鍛えて長く一緒に働こう、ということだ。デメリットとしては残業が多くなる傾向がある。自分の仕事が終わっても仲間がまだ残っているのだから自分も残って手伝う(又は帰り辛くただ残っている)となってしまう。

ジョブ型とは、仕事に人を振り分け、個人が与えられた仕事において成果をあげていく働き方だ。この仕事をできる人が必要なのでこの人を雇う、といったところで、入社にあたっては明確なジョブディスクリプション(入社後に担う役割)が伝えられる。メリットとしては自分の能力にあった給与がもらえる、残業がすくなくなるといった傾向がある。成果主義、成果に応じて報酬を出すし、成果さえ出していれば何時に帰ろうが構わない。デメリットとしては、解雇リスクが高い傾向にある。成果を出せなかった時はもちろんのこと、その業務がなくなりばその人もいらなくなることもある。業務のオフショアリング(例えばインドなど、国内よりも雇用コストが安い場所に業務を移動させること)や、業務のオートメーション化などによって、割り当てられた業務がなくなるといったことは珍しいことではない。

 

日系企業は雇用が安定していて、研修がしっかりしている反面、残業が多く給与も比較的低いのはメンバーシップ型だからで、外資系企業は給与が比較的高い反面、クビのリスクが多いのはジョブ型だからだと言える。

では外資の中でもオペレーションのようなバックオフィスはどうか。

 

観点1:給与

ジョブ型の報酬制度は成果主義なので、どれだけ成果を出しているかで額が決まる。しかし、バックオフィスにおいてこの成果は非常に見えにくい。営業やトレーダーのように数字で収益が見えない分、何をもって成果とするかということが難しい。バックオフィスの成果とは?については別記事で詳しく考察するとして、ここではチームやそのマネージャーにより、自分の成果と見なされる部分が変わることに触れておきたい。フロントオフィスのように年によって給与が乱高下することはなく、景気がいい時も悪い時も、給与額の年次での振れ幅は狭い傾向にある。

 

観点2:クビのリスク

個人の成果が見えにくいということは、突出して成果を出せていないと見られることも少ない。よほどの大きなミスを何度も起こさない限りいきなりクビとはならない。ただし上述のように業務そのものがなくなってしまう可能性もあるので、日系企業に比べるとクビのリスクが大きいのも実情です。

 

観点3:残業

もちろん入社時にはジョブディスクリプションが伝えられ、自分の役割が明確になる。しかしそれは入るチームとしての責務であることが多い。チームとして、これを達成してください、ということだ。

オペレーションは膨大な数の取引に対して正確に且つ時限内に処理をしなければならない。個人の能力が突出していたとしても、量が多いととても一人では対応できない。ある程度の担当分けはあるものの、その担当者のキャパシティーを超えた時や、そもそもその担当者がいない時に、業務を止めるということは許さない。その為、チームで協力して業務を回していく必要がある。

自分の仕事=チームの仕事といった感覚なので、たとえ自分に割り当てられた仕事が終わったとしてもチーム内で助けを必要としているメンバーがいれば、積極的に仕事を引き受けるといった傾向が多い。

 

これらのように、日系ほど安定はしなくてよいが給与はもっと欲しいと考える人が日系からの外資に転職する傾向が多い。